ビジネスの効率を考える上で重要とされる概念に「PDCAサイクル」があります。
現在は、新たに「OODA (ウーダ) ループ」というプロセスが注目され始めています。
新型コロナウイルスは社会だけでなく、ビジネス界へも大きな影響を与え、
あなたも変化の必要性を感じているのではないでしょうか。
この記事では、OODA (ウーダ) ループとPDCAサイクルのそれぞれのメリットとデメリット、
その違いについて解説します。
OODA (ウーダ) ループとは
OODA (ウーダ) ループは孫子の兵法を基本にした、アメリカ生まれのビジネスメソッドです。
元々は、戦場で戦闘機に搭乗するパイロットのための戦術として編み出されました。
イラク戦争においてその実効性が証明されて注目を集め、
日本でもビジネスの現場で採用されるようになりました。
ビジネス環境の変化が激しい現在、
OODA (ウーダ) ループは成果を残す組織を作るための土台として注目されていますが、
もちろん個人のビジネスにも応用できるフレームワークでもあります。
日本ではまだそれほど注目度の高くないOODA (ウーダ) ループを採用することで、
あなたはライバルより先を行くビジネスの展開を期待できます。
PDCAサイクルとOODA (ウーダ) ループの違いとは
ビジネスの現場で、OODA (ウーダ) ループと比較されることの多いメソッドが、PDCAサイクルです。
ビジネスの現場におけるPDCAサイクルは、仕事の精密さをさらに高めるために用いられます。
そのプロセスは
- P(plan = 計画)
- D(do = 実行)
- C(check = 評価)
- A(action = 改善)
という4つのステップから成り、効果を見ながら中・長期に活用します。
業務を改善し目的を達成するために、PDCAサイクルではこの4つの要素を繰り返すことになります。
PDCAサイクルは最初の目標を中心に進めるので、想定外の状況では機能しにくいという欠点があります。
他方で、OODA (ウーダ) ループは従来の業務ではなく、
全く新しい未知の事業や商品開発のために用いられます。
新しい分野で、目の前にある新鮮な情報をもとに即座に実践に移す、という短期決戦型の構造です。
素早い行動が求められるOODA (ウーダ) ループでは柔軟な発想が必要です。
結果として、お客様のニーズと期待に応える可能性が広がることになります。
OODA (ウーダ) ループ 4つのステップ
OODA (ウーダ) ループとは、
- O(observe = 観察)
- O(orient = 状況判断)
- D(decide = 意思決定)
- A(act = 行動)
の頭文字をとったものです。
目標に到達するプロセスを4つの段階に分け、成功に導く方法を示しています。
observe(観察)
OODA (ウーダ) ループの最初のステップは、まず相手 (市場、お客様) をよく観察することから始まります。
市場の動向やライバルの情報を収集し、戦略を練ります。
重要なのは、経験則や常識、思い込みを捨て、柔軟に状況を受け入れる臨機応変な態度です。
orient(状況判断)
observe(観察) によって集めたデータを元に、状況を判断し、今後の方針を決めるプロセスです。
プロジェクトを先に進めるか、いったん止めるか、内容に変更を加えるかといったことを検討します。
その時点での「最適解」を追求することで、より良い方向付けができます。
decide(意思決定)
orient(状況判断) によって状況を判断し、具体的な行動を決定します。
適切な状況判断をベースにしたプランなので、行動の有効性がアップすることになります。
このステップで大切なのは、「どのように (how) 」をしっかり考えることです。
行動計画をできるだけ具体的にして、act(行動)のステップを確実なものにするのです。
act(行動)
decide(意思決定) に基づき、行動に移します。
求められるのは果敢にチャレンジする意志の強さと、机上の空論で終わらせないための実行力です。
そして、その名の通り「ループ」ですので、再び同じサイクルを回していくことになります。
4つのステップを短期間で繰り返すことで計画の穴を埋め、完成度を高めていくことができます。
OODA (ウーダ) ループのメリット、デメリット
ここまでOODA (ウーダ) ループの内容を具体的に説明してきましたが、
以下では、そのメリットとデメリットを考えてみたいと思います。
メリット
OODA (ウーダ) ループの大きなメリットは、状況の変化に強いということです。
OODA (ウーダ) ループでは計画の概要を決めた上で、実際の行動は個人が行います。
情報を収集して即座に行動に移せるため、突然の状況の変化にすぐ対応できるという即時性があります。
また、短いサイクルで結果の検証も視野に入れながら行動するため、
decide(意思決定) から observe (観察) のフェーズに戻ることも容易です。
このようにOODA (ウーダ) ループは、必ずしも決められたステップに縛られることがありません。
このフットワークの軽さこそが最大のメリットです。
デメリット
OODA (ウーダ) ループでは個人が自発的に考え、行動することが前提です。
しかし、その考えの中に思い込みや錯覚、勘違いがあると
ただプロセスを繰り返すことだけが目的化してしまいます。
つまりOODA (ウーダ) ループにおいては、
まず明確な目標、展望、未来像を持っている必要があります。
そのようなビジョンを欠いていると
組織としてはバラバラになってしまい、個人事業主であれば迷走が始まります。
組織であれ個人であれ、
目的を達成するための明確なビジョン、目的の確立が不可欠です。
まとめ
この記事では、OODA (ウーダ) ループの概要やPDCAサイクルとの違い、
メリット、デメリットなどを説明しました。
かつてのビジネスでは、経験のみに基づいたいい加減な意思決定や、ずさんな計画が行われていました。
そうした時代においては、
PDCAサイクルはビジネスを効率的に進めるために一定の役割を果たしたと言えます。
一方、OODA (ウーダ) ループは、組織と個人の両方で活用することができます。
組織の場合には、全体を統括する立場の人がOODA (ウーダ) ループの各ステップの内容を吟味し、
軌道修正しながら進めることで、プロセスが完成に近づきます。
また個人でOODA (ウーダ) ループを活用する場合、先に書いたように、
「状況の変化への強さ」と「柔軟な対応力」
というOODA (ウーダ) ループの特長をより生かしやすくなります。
アフィリエイトなどのインターネットビジネスや個人事業主が事業を展開する場合は、
OODA (ウーダ) ループの汎用性の広さは、大きな武器になるはずです。
トレンドの移り変わりが激しい現代においては、流行やお客様のニーズも目まぐるしく変化します。
そのため短期間で回転できるOODA (ウーダ) ループで迅速に対応することが
ベストの結果を生むことは、多々あります。
PDCAサイクルか、それともOODA (ウーダ) ループか。
あなたのビジネススタイルと環境にどちらがより適しているのかを冷静に判断することが
戦略や業績に大きく影響してくることは言うまでもありません。